受け取ったPDFで文字を選択できない、検索しても何も出てこない。ファイルが壊れているわけでも、設定が間違っているわけでもありません。中身が文字ではなく画像だから、というだけの話です。何が起きているのかと、そこから先に何が必要になるのかを整理しました。
見た目では区別がつきませんが、中身の作られ方がまったく違います。
| 種類 | 中身 | できること |
|---|---|---|
| 文字が入ったPDF | 「あ」という文字が、文字のデータとして記録されている | 選択・コピー・検索・読み上げ・翻訳 |
| 画像だけのPDF | ページ全体が1枚の写真。文字に見えるものは絵の一部 | 表示と印刷のみ |
前者になるのは、WordやExcelから「PDFとして保存」したもの、ブラウザの印刷画面からPDFにしたもの、会計ソフトや請求書サービスが発行したものです。もともと文字データがある状態から作られているので、そのまま文字が残ります。
後者になるのは、複合機やスキャナーで紙を取り込んだもの、スマホで書類を撮って変換したもの、FAXを受信してPDF化したものです。カメラやセンサーが紙を撮影しているので、できあがるのは写真です。「請求書」と読める部分も、機械にとっては黒い点の集まりでしかありません。
ややこしいのは、1つのファイルの中で混ざる場合があることです。表紙は文字入り、添付された資料だけ画像、といったPDFは珍しくありません。全体で判断せず、困っているページで確かめてください。
特別なソフトは要りません。3つのうちどれか1つで判別できます。
もうひとつ、間接的ですが分かりやすい手がかりがあります。ファイルサイズです。文字だけの数ページのPDFは数十キロバイト程度ですが、同じ枚数をスキャンしたものは数メガバイトになります。桁が違うほど大きければ、中身は画像だと考えてほぼ間違いありません。
読むだけなら不都合はありません。困るのは、中身を扱おうとしたときです。
画像から文字を読み取る処理を文字認識(OCR)といいます。人が紙を読むのと同じことを機械にさせる仕組みで、PDFの保存し直しとはまったく別の処理です。
実行する前に知っておきたい性質が3つあります。
なお、これから紙を取り込むのであれば、取り込む時点で文字認識をかけてしまうのが最も手間がかかりません。オフィスの複合機には「検索可能なPDF」といった名前の設定があり、これを選んでおけば、あとから変換する作業自体が発生しません。
当サイトのツールはすべてブラウザの中だけで動き、ファイルはどこにも送信されません。文字認識そのものは提供していませんが、その手前と周辺は片づけられます。
標準のカメラで撮ってPDFに変換しただけなら、中身は写真のままなのでコピーできません。ただしスマホの書類スキャン機能には、撮影と同時に文字認識をかけるものがあります。iPhoneのメモアプリの書類スキャンや、一部のスキャンアプリがこれにあたります。作成したPDFで文字を選択できるかどうか、その場で試してみるのが確実です。
スキャンした画像に文字認識をかけ、認識した文字を画像の裏側に見えない形で重ねて保存する設定です。見た目は元の紙のままで、検索やコピーができるようになります。オフィスの複合機に付いていることが多く、スキャン時に選ぶだけなので、あとから変換するより手間がかかりません。日常的に紙を取り込むなら、最初からこの設定にしておくのが最も楽です。
多くのソフトは、元の画像をそのまま残したうえで、認識した文字を裏側に重ねる方式をとります。この方式なら見た目は変わりません。一方、認識結果をもとに文書を作り直す方式では、レイアウトが崩れたり書体が置き換わったりします。契約書や請求書のように原本の見た目が意味を持つ書類では、前者を選んでください。
読むだけなら問題ありません。ただし相手が中身を検索したり数字を転記したりする場合は、手作業が発生します。応募書類や見積書のように相手が内容を扱う前提のものは、可能なら文字が入った状態で渡すほうが親切です。またファイルサイズが大きくなりやすいため、メールの添付上限に引っかかることがあります。
月に何十枚もの紙を取り込む、過去の書類をまとめて検索できるようにしたい、認識した文字をそのまま表計算ソフトへ渡したい。こうした使い方になると、専用のソフトが必要になります。代表的なものがAdobe Acrobatで、日本語の縦書きや表組みの認識精度、原本の見た目を保ったまま文字を重ねる方式、まとめて処理する機能がそろっています。
逆に、取り込むのが月に数枚で、目的も「1か所の数字を写す」程度であれば、有料ソフトを入れるより画面を見ながら打ったほうが早いこともあります。枚数と頻度で判断してください。
関連する手順として、紙の書類をまとめる側の話は領収書の写真を1つのPDFにまとめる手順と複数の書類を1つのPDFにまとめて提出するにあります。